精一杯の「あいしてる」



他の人に取られるなんて嫌だ。
私だけを。
どうか。



「先生は美貴さんが好きなんでしょう?」



だったら私なんて必要ないじゃないか。
交錯する思い。



「私を嫌いなら、そのように示してよ」



無駄な期待なんかさせないで。



「んなこと言うのはその口か?」



ぐに、と唇を歪められた。
この男め。



「乙女の口をー…」

「お前が乙女ねぇ」

「乙女でなくとも女の子です!同じ掴むなら顎掴んだらどうですか!」



これじゃあ、おちょくられてるだけだ。
はぐらかしてるの?
叫びたくて仕方ないの。

“あいしてる”



「いい子をやってるだけだと思ってたお前が、そこまで言うとはな」

「………」

「俺は………」



涙が浮かぶ。
あなたがそんなことを言うもんだから。