食い違う方向性



「どうかしたか、

「え?」

「あれ以来、元気がないように見えるぞ」

「あ、はぁ…」



あれ、というのはおそらくベナウィに出会って以来だ。
それは私自身自覚していた。



「どうしてこんな國を護ろうとするのかなぁって」



私にはわからない。



「みんな苦しんでる。今の皇が討たれた方が絶対にいいのに」



ぐっと手を握り締める。



「そうだな…けれど、理由があるんじゃないか」

「理由?」

「あの男は真面目過ぎるように見える。与えられた任務をこなし…」

「こなし?」

「國に貢献する。あの男に大事なのは國なんだ。何故かとまでは自分にはわからないがな」

「………」



だったらあいつが皇になればいいのに。



「今の答えでは不満だったか?」

「え、いや、そんなことは」

「いや、顔に出ているぞ」

「う………」



だって。
なんだかものすごく悔しくて。
あれだけ有能そうなのに。



「…あ、馬鹿と天才は紙一重」

「…?」

「うん、あいつ馬鹿なんですよ、きっと!」

「馬鹿、ですか」

「そうです!あーもう、イラつくなあ!」





この気持ちの正体が すき と気付くまでもう少し。