初顔合わせは刃を交えて
ウォプタルを走らせながら弓で射る中、オボロが倒れたのが見えた。
やはりあの男…強い。
「オボロっ!」
オボロの相手の間に割って入る。
に怪我を負わせるわけにもいかず、飛び降りる。
「チィッ!邪魔をするな!」
「しないわけにいかないでしょう!」
白いウォプタルに乗った男の槍が振り下ろされる瞬間。
矢では意味が無いと懐に隠し持った短剣で受け止めた。
「っ!」
「なるほど、ただの弓兵(ペリエライ)ではないようですね」
「どけ、!」
「…ですか」
「………」
私の名を呟いた男に敵意を向ける。
この男、おそらく馬鹿ではないだろう。
しかし、ならば何故こんな傾いた国を護るのか。
「私の名はベナウィ。以後、お見知りおきを」
「え?」
「今日はこれくらいで失礼します」
「何だと、貴様っ」
「こちらの兵も疲弊している、これ以上戦うことは意味をなしません。では」
ベナウィは兵を引き連れて走り去った。
私はただ呆然としていたけれど。
「、よくも邪魔をしてくれたな」
オボロの言葉で現実に引き戻される。
「私が来なかったら間違いなく死んでたわよ」
「俺が勝っていた」
「あっそ…もっと冷静になりなさいよね」
「何だと?」
「なんでもない。早く戻ろう」
そばに寄って来たを撫でる。
“ベナウィ”
あの男、おそらく馬鹿ではないだろう。
しかし、ならば何故こんな傾いた國を護るのか。
槍を受けた腕が痺れている。
彼らが去った方向を、私は睨んだ。
何の為に、戦うのか。