Sっ子×2
「抱きしめるからこっちへおいで」
「ん」
呼ばれたら行く。
ペットの習性みたいなもんだ。
「だーっ!もういい加減にしろっ!」
「何が?」
久保ちゃんと一緒に顔だけ向ける。
抱きしめられたままの体勢で。
「何が、じゃねぇよ!なんだよ、今日のお前らっ!」
「あ、もしかして時任も混ざりたい?」
「あれ、そうなの?」
「混ざるかっ!」
「やぁねー時任くんってば怒っちゃって」
ねー、なんて久保ちゃんと顔を見合わせて首を傾げてみたりして。
「俺、コンビニ行って来る」
「えーそんじゃ一緒に行く」
「うん、3人で行こっか」
「俺は一人になりたいんだよっ!」
泣きそうな顔をして時任氏は出て行かれた。
「あは、いじめ過ぎたんじゃないのー?」
「たまにはからかってみたくなるって言ったのはでしょ?」
「あ」
「ん?」
「ジュース頼めば良かった」
「じゃあ時任追っかけよっか」
「いや、マジ泣くよあの子…」
久保ちゃんだけが追いかけるなら喜びそうだけど、ね。