白と黒の交わり



は綺麗?」



え?



「あの…一応毎日お風呂は入ってるけど…顔も洗ってるけど、手も洗ってるけど、」



どっか汚いかな!?ねえ!!



「いやまあ使ったコップ出しっぱなしにしたり、お菓子の袋捨てなかったりはするけど」



綺麗か汚いかと言われれば。



「どちらかといえば、き、綺麗…?」

「………」

「………」



沈黙が痛い!
何か言ってよ、久保ちゃん…!!



「そっか」

「う、うん」



どういう意味の“そっか”なの?



「綺麗だね」

「え…うん…?」



そう言って久保ちゃんは私の手を取る。
手のことだったのかな?
大丈夫、手くらいちゃんと洗ってるよ。



「汚れちゃう?」



それは、どういう質問でしょうか。



「えっと、汚れることはあるよね。しょっちゅう。でも洗えば綺麗になるよ」

「なるかな?」



………。



「久保ちゃんは、汚いの?」



珍しく、驚いたらしい。



「そうだねえ…キタナイ。それで、きっとのことも汚しちゃうよ」

「私がそれを嫌だとかなんとか言うの期待してるの?」

「洗えば綺麗になる?」

「…すごーく汚いが、すごく汚いくらいには」

「あーなるほどねえ」



久保ちゃんが心底おかしそうに言う。



「んじゃお言葉に甘えて」

「っ!?」



触れた唇はすぐには離れてくれなくて、むしろそんな気はさらさらないらしい。
あっさり舌を絡め取って煙草の味を広げていく。



「ちょっ…と、いきなり何!?」

、汚れないで。俺を少しでも綺麗にしてよ」

「…久保ちゃん言ってること難し過ぎ」

「そお?」

「うん」



頭の中で疑問符の増殖が止まない。



「つまりさ」

「うん」

「お姫様を俺にくださいってこと」

「難し過ぎてわからない」



誰が姫だ、どこに姫がいるのか。



「あらま。のことが好きだよ。だからもっとキスさせて」

「えっ!それはダメ!」

「ダメなの?」

「ダメ…なの…」

は俺のことが嫌い?」



もちろん好き。



「…恥ずかしいって。いちいち許可取らないでいいよ」

「じゃあいつでもシていいんだ?」

「それもどうなの?ねえ………っ!」



逃げられないようにきつく抱きしめられて。
煙草の味におかされていく。