理性との板挟み



、起きてください」

「………」



すやすやと気持ち良さそうに眠っている。
腕には弓を抱えたまま。
訓練に疲れたというところか。
実際、今日の彼女はいつも以上に頑張っていた。



「こんなところで眠っていては風邪を引きますよ」



答えない彼女。
これではまるで、独り言を言っているようだ。







突然ぐらりとがバランスを崩す。
難なく受け止めたのだが…。

薫る彼女の薫り。

細い身体。

…わずかに残る傷痕。



「………はあ」



我知らずため息が漏れた。



「………ん」



ふわりと抱き上げて、彼女の部屋に向かう。

無意識に衣服を掴んでくる手。

規則正しい寝息。

無防備な寝顔。

彼女の部屋にいざ入ろうというところで。



「………はあ」



もう一度ため息をついた。