世界中で誰よりも愛してる



「ふぁ…」

「もうおねむですか、せんせい?」

「う…今日はちょっと疲れたんです。まさか葵理事のお仕事を手伝うことになるなんて思ってなかったので」

「だから悪かったって」



お詫びにメシにも連れてってやったっていうのに。



「せんせいの家まではまだかかるし、俺の家に来る?」

「はい?」

「決定」



勝手に決めて、目的地を俺の家に変更する。



「ちょ、ちょっと理事!?」



今の一言で眠気も覚めたのか、慌てふためいている。



「嫌なの?」

「嫌っていうか、その、あの」



こういう時はハッキリ断らないといけませんよ、せんせ。



「帰したくないって言ったら、応じるか?」

「え………」



あーあ、顔赤らめちゃって。



「冗談言わないでくださいよ」



はぷいと視線を窓に向ける。



「冗談じゃないよ」



クスリと笑って、煙草に火をつける。






“世界中で誰よりも愛してる”

いつか言うよ、君に。