何時も考えている
「センセのこと、何時も考えてるよ」
「…それよりちゃんと仕事してください」
また書類を散らかして…とぼやく。
せっかく二人きりだってのに、ホント真面目なヤツ。
片付け始めた背中に近づいて、机との間に挟んでやる。
逃げられないように手をついて。
「葵…理事?」
「“理事”はいりませんよ、センセ」
「こういうことはせめて帰ってからに…」
「帰ってから、ならいいんだな?」
「いや、そういうことじゃなくて」
「何だよ、お前が言ったんだぜ?」
さて、お許しが出たことだ。
さっさと仕事を片付けますか。
「ん?どしたの、先生」
「何でもないです」
顔を赤くしてこっちを見て。
「物欲しそうに見えますよ?」
「なっ!何言うんですか!!」
帰ってからって約束したもんな。
今は我慢しといてやるよ、せんせい。