おやすみなさい? 拝啓、ハクオロさん。 静かです。 この宮で騒がしい大半の人間がいない。 「みんな…大丈夫かなあ」 いろんな意味で。 ちなみに、ベナウィは大丈夫じゃありません。 みんながいないと変な気分。 置いてかれた寂しさとか悔しさとか切なさとか怒りの複雑な思いはさすがにもうなくなった。 クロウ曰く、ベナウィが正気でいるために私が残されたらしい。 「まだお仕事中?」 「どうしました、こんな夜更けに」 案の定、ベナウィの部屋にはまだ明かりがついていた。 武官としても文官としても働きすぎだと思う。 「なんか落ち着かなくてね。良ければ、一緒に寝させてもらえないかなあ、って…」 ベナウィの筆が、ぴたりと止まった。 そして一呼吸置いて言う。 「…わかっていますか?」 「え?」 「私と床を共にするということは、アルルゥ様達と眠ることとは違うんですよ?」 「えと、あの、それって…」 私はそういうつもりでは、いやでもベナウィがそうなら…。 「とりあえず、この話は後にしましょう」 「へ?」 「クロウ、入りなさい」 「クッ、クロウ!?」 「いやあ、邪魔しちまってすいやせん」 この後。 この後。 どうしよう。 私はここに残っていてもいいのだろうか。