矛盾な駆け引き 「先生は私をからかってそんなに楽しいですか!」 「ああ、楽しいぞ」 からかわれる方としてはたまったもんじゃない。 「でもな」 「え?」 からかわれるのは嬉しいものじゃない。 じゃないけど、構ってもらえるのは本当は嬉しいのに。 "でもな"って何? 否定のための言葉でしょ? 「オレ様としてはもっとこう…」 表情を変えた先生の顔が近付いてくる。 「…っ、だ、だめですよっ」 「んー?何がだ?」 そういうニヤニヤする顔もだめだと思う。 「だ、だめなものはだめなんですっ」 「そうか」 あれ、あっさり? 「生徒のネクタイを直すのも嫌がられるとはなぁ」 「なっ、なっ、なっ…」 嘘だ嘘だ絶対嘘だ。 「どうした?」 「先生の…馬鹿ーっ!!」 こう言っても、そのあとに“でも好きだろ”なんて言ってくる先生が。 嫌いだけど大好きだったり、する。