目的地なんて、 「一緒に行こうか」 ソファでくつろいでいると、突然久保ちゃんが言った。 「どこに?」 なんだかその目は穏やかというか不思議な感じ。 吸い込まれるような。 「んーコンビニとか?」 「近っ!」 可愛らしく小首かしげちゃったりしないで! 「だめ?」 「じゃないけど…もっと遠くに行くのかと思った」 「…なんで?」 …なんで。 「なんか、そう言ってたよ」 「俺が?」 「てゆーか、久保ちゃんの目が?」 「面白いこと言うね」 「なに?バカにしてる?」 笑顔で聞いてみる。 「まさか」 笑顔で返された。 「でもさーダメだよね」 「なにが?」 「あんまり遠くに行っちゃ」 「どうして?」 「だって、時任かわいそうだよ。さびしいよ」 「そうかな」 「違うの?」 「時任、さびしがると思う?」 私も、一緒にいたいって気持ちがわかるから。 「一緒」 「ん?」 「みんな、ひとりだったらさびしいじゃない」 きっと、久保ちゃんだってさびしいじゃない。 「そっか」 「そ」 「コンビニ行こっか」 久保ちゃんが立ち上がる。 「アイス買ってー」 「お菓子も買ってあげる」 「久保ちゃん太っ腹だね」 自分用にも買うんだろうけど、それは自分で処理してね。 「…なにしてんの、ふたりとも」 「おはよーもう3時だよ」 「まだ眠ぃ」 くあぁと時任は欠伸をした。 「じゃ、二人で行ってこよう、久保ちゃん」 「だね」 「えっ何だよ二人して!」 おや、もうさびしがるの時任? 「時任が可哀想なんじゃなかった?」 「だって時任可愛いんだもん、すぐ帰ってくるしいーの」 「そっか」 「そ」 「俺も行く!」 私の話が聞こえなかったのかな? 「「お留守番ヨロシク」」