導きの魔女
「ほらほら戦人ァ、早く答えてみろよォ。わらわは随分待ってやってンだぜェ?」
「くっ………」
前から思ってたけど。
「ああ駄目ね、全然駄目だわ」
「そうね、確かに駄目だわ」
「グレーテル、…?」
「ほォ、グレーテルに卿。何が駄目だとおっしゃるのか?」
「アンタの言葉使いよ、ベアト!」
「え?」
駄目だと最初に言ったはずの縁寿が目を丸くする。
「「なんだとォ!?」」
戦人とベアトは仲良く叫んでくれた。
「ぷっくっくっ、確かにお嬢様は下品な物言いが多く見受けられます」
「ロノウェ…」
ベアトが苦い顔をする。
そう、そうなのだ。
「お嬢様なんて言われてるくらいなんだからさぁ、それ相応の態度っていうか」
「なんで今更そんなことを言われなきゃならねェんだよ!」
「前々から思ってたわ」
「確かにそうだな。ベアト、お前は品がなさ過ぎるぜ!」
「お前に言われたくないわ、戦人ァ!」
「ほっほっほ、この子は昔からこうだったわけではないと思うんですけどね」
「何だよォ、お師匠様もわらわの味方じゃないのかよォ…」
「ほらほら、言葉使い」
「うるせェんだよっ!」
せっかくこんなに美人だというのに。
黙っていれば、というのは勿体ない。
しゃべれば美しいというより、可愛さが目立つが。
「ちょっと、何してんの?」
「ラムダデルタ卿!」
「ベアトの言葉使いなんて、今に始まったことじゃないじゃない」
「ベルンカステル卿!そなたはわらわの味方なのだな?」
「一応ゲーム上では敵同士だと思うけど」
「まぁそうだけどよォ…」
「気品がないなんて私にお説教してたくせにィ。ヘソでも噛んで死んじゃえば?」
「うっうるさい!こんなもの今更どうにかなるか!」
「「「………」」」
室内を沈黙が包む。
すると、誰からでもなくひそひそと囁き始める。
「言われてみればね」
「何せ千年も生きてるんだし」
「わ、私の責任ではありませんよ」
「ぷっくっくっ…」
「こ、こそこそと何を話しておる!」
「別に何も話してないわ」
「フン!わらわのことなどどうでもいいだろ。ゲームを再開するぞ!」
そろそろ頃合だろう。
「魔女を打ち砕く推理は出来た?時間は十分与えたつもりだけど」
「ほォ…やるじゃねェか、卿…」
「なるほど。なかなか面白かったわ」
「どういうこと?」
「時間稼ぎとしては素晴らしいですね」
「ぷっくっく、楽しませていただきました」
戦人が顔を上げ、倒すべき魔女に宣言した。
「ああ、完璧だ。助かったぜ、。ゲーム再開といこうぜ、ベアト!」
「くっひゃっひゃ!やっぱりお前はそうでないとなァ?かかって来い、右代官戦人ァァァァっ!」