ちょー広い部屋。

ちょー広いお風呂。

魔族では当たり前らしい紐下着。

王様ってヤツはすごいのね、王は王でも魔王だけど。




   晩餐会は異文化対立



眞王廟や歴代の魔王様の説明を受けながら、食事会場へ。
既にグウェンダルとヴォルフラムがいた。
雰囲気は最悪だ。
気まずくてしょうがない。
…早く終わらないかな。
これじゃあご飯も美味しくないだろう。

コンラッドがヴォルフラム、及び自分達兄弟のことを説明してくれているととんでもなくセクシーな美人が現れた。



「母上!」

「「母上ぇっ!?」」



すごい、魔族ってすごい。
いろんな意味ですごい。

女の私ですら、赤面してしまいそうな美女。
今は隣の有利に絡んでいらっしゃるが、いずれ私の番になるのだろうか。
その時はすぐにきた。



「そして、あなたが陛下ね?」

「は、はぁ」



ち、近い。
距離が非常に近いです。



「可愛らしい方だわ。あたくし、あなたみたいな娘がずっと欲しかったの。
 息子たちはあたくしに構ってくれないんだもの。仲良くしましょうね」



そう言って可愛らしく微笑んだ。



「眞魔国へようこそ、ユーリ陛下、陛下。
 あなた方の先代にあたる、フォンシュピッツヴェーグ・ツェツィーリエよ。ツェリって呼んで」



この人が前魔王様だとは。
とりあえず呼び方をおっしゃってくれて良かった。
フルネームを呼ぼうとしたら噛みそうだ。








それから食事会が始まったわけだけど。
ヴォルフラムはいちいちチクチクと姑のように嫌味を言ってくる。
ツェリ様はこちらの世界に興味を持ち、恋バナにまで発展させる。
グウェンダルは相変わらず不機嫌そうで。
コンラッドは普通に食事をしていて。
ギュンターは少し離れたところにいる。
私、そこ行きたいな。



「とにかく、陛下たちはとても遠いところからいらしたのね。
 いきなり王になれなんて言われて不安もあるでしょうけど、あたくしの兄や息子たちが誠心誠意お仕えすると思うわ」

「母上!ぼくはこいつらに仕える気などありません!新王に値するものかもわからないのに、納得できませんね!」

「あら、じゃああなたが継いでくれるの、ヴォルフ?」



その方がいいんじゃないかと思ったり思わなかったり。
いや、でも王には向いてないんじゃないとか考えてると、ヴォルフラムはグウェンダルを推した。
私も似合うと思うよ。
が、ツェリ様が恐ろしいお言葉を。



「眞王陛下のお言葉に背いた王がどんな結果を招いたか知らないわけじゃないでしょ?」



…それ、どういう意味ですか?



「それじゃほとんど脅迫じゃん!」



有利の言葉にうなずいた。
確かに、選んだけど拒んだらどうなるかわかってる?って話だもんね。



「…やはりな」



そこで初めて、グウェンダルが口を開いた。



「最初から王になる気などないのだろう。そんな覚悟もないのさ。そうなんだろう、異界の客人?」



この気持ちを、なんて言ったらいいんだろう。
本当のことを言われたから逆上したいだけ?
負けず嫌いだから、そんなことないって言い返したいだけ?
胸が熱くなるのを感じた。