さあ、どうしたらいい。 学校じゃこんな時の対処法は教えてくれなかった。 いや、まず普通の高校生がこんなことにはなりゃしないんだ。 とりあえず、作戦会議をさせてくれ。    ふたりでひとつでしょ! 「っ!」 「おっと、手を貸してやったのに」 「いらないです」 馬から飛び降りると足の裏がじんじんと痛んだ。 懐かしい感覚だ。 階段を飛び降りたみたいな。 「俺があんたとタンデムすると思うなよ。あんたみたいなガタイのいいマッチョは嫌いなんだ」 「私もご免」 これは本心だ。 「じゃあ、どいつと相乗りしてーんだ。それとも独りで乗れるのか?」 とんでもない。 馬術はこれから練習予定だ。 「独りで?とんでもない!」 “ない”と言うのと同時に、有利は術にかかっている味方の兵の足を思い切り叩いた。 その衝撃は馬の腹に当たり、いなないて走り出す。 驚いてあっけに取られたが、これも何かの戦略だろうと半数を走り出させたあたりから私も加勢する。 この場に残されたのは、私と有利とアーダルベルトだけ。 「…なんでこんなことをする?」 私も聞きたいな、それ。 「ヴォルフラムはちゃんと最後の一人を選んでたよ。いや、二人だけど。あんたが気付かなかっただけじゃないの」 なるほどね。 そして、有利は小さく“巻き込んでごめん”と謝った。 何が“巻き込んで”だ。 有利としては私が女だからそう言ったのかもしれないが。 私達は二人で魔王じゃないか。 「オレはお前らのためを思って、魔族のもとから連れ出してやろうと言ってるんだぜ。  それをわざわざぶっ潰すなんて、どうしてこんなことするんだ、ええ?」 そんなの、決まってる。 「あんたは俺のチームにいらないんだよ」 む、有利ばっかりカッコイイ。 「おいおい、そりゃないだろ」 アーダルベルトが巨大な両手剣を下げてこちらに来る。 うわぁ、ちょっと待って。 「お前らが怖がらないようにって、せっかく気ぃ遣ってやったのによ。だったら最初っから、腕の一本でもへし折って脅して拉致すりゃ良かったよ」 それ、完璧悪役のセリフじゃないか!?