二人で朝寝坊 この部屋のルームメイトは不在。 今日は休日だからだろう。 外はいい天気だし、遊びに行っているらしい。 あたしはといえば平日と変わらない時間に起きて、理樹たちと朝食をとって今に至る。 理樹は鈴と真人と戯れていて、謙吾は部活。 恭介は…と思ったら、部屋に戻るというのでついてきてしまった。 「ねぇ恭介。それ面白い?」 「ああ面白い」 あたしが隣にいるってのに。 恭介は漫画から目を離さない。 さっきからずっとそうだ。 別に約束してたわけじゃないし。 あたしが勝手についてきたんだし。 漫画の内容に合わせて変わっていく百面相を見るのは面白い。 でも物足りない。 あたしが漫画を一緒に読んだとしても、休日な意味はない気がする。 せっかく。 二人きりだってのに。 積まれた漫画は消化するにはまだまだかかりそうだ。 そういえば今日は漫画を読む日だって言ってた気がしなくもなくなってきた。 「ねえ恭介」 「面白い漫画があって、お前がいる。その空間がいいんじゃないか」 ああ、駄目だ。 恭介の言葉はいつも無駄に説得力がある。 どんな下らない言葉であっても。 「あたしも読んでもいい?」 「そっちのやつが面白いぞ」 やっぱり恭介は漫画から目を離さない。 だけど、ああ言われてしまっては。 それならいいかと嬉しくなってしまった。 夜になっても恭介の集中力は衰えない。 一体何冊目だ、と突っ込みを入れたところで恭介は動じない。 ルームメイトは帰ってこない。 明日も休みだからか、実家にでも帰っているのだろうか。 じゃあ漫画を読むしかない。 明日は二人で朝寝坊。