こどもたちはただ
それはとおいむかしばなし。
二人の王子と一人のお姫様が初めて顔を合わせた日。
「…おんなじかお」
「ぼくは高成」
「ぼくは閑雅」
「とってもにてるのね」
呆然としていた少女が顔を輝かせた。
「ぼくたちふたごなんだ」
「ふたご?」
「うん」
「ふたごってなあに?」
子供はすぐに疑問を持つ。
「「ふたごっていうのは………」」
子供には少し難しいだろう。
「?」
「あーもうわかんないよっ」
「せんり、せつめいしてよっ」
僕が?
「双子ってなあに、桐彬?」
「千里…わざわざ私に振るなっ」
「………」
むぅ、と答えをもらえないお姫様はご機嫌を損ねてしまったようだ。
「ちゃん、おこらないで」
「姫様、可愛い顔が台無しですよ」
「ひめさま?」
「あなたはの姫だからね」
大事な姫君だ。
この二人に会った瞬間から尚更。
「おひめさま、あそびましょ」
「…うんっ」
「子供は無邪気だなあ」
楽しそうに笑って。
「お前がいるとそれを毒しそうだ」
「酷いよ、桐彬」
とおいむかしばなし。
子供たちは何も知らなかった頃の。