花の下で待ちぼうけ
桃色の花びらを払う。
見えるところに落ちてくるものはそれでいいけれど、頭の上に落ちているものはどうしろと。
あなたが来ないと払えないじゃないか。
「2時に待ち合わせ。
今は何時かご存知?」
連絡はない。
でももう4時になろうとしている。
「まぁ…ウチの執事じゃないもんね」
こき使われてる?
我侭なご子息様に。
春の風は時々少し冷たくて。
誰かがいないと寒いのに。
「やっぱりまだ待っててくれたんだ。…ごめん」
電話をかけても出てくれなくて。
もしや、と思って来てみれば。
「眠り姫を起こすのは忍びないですね」
ふわりと上着を掛けてやる。
「もう少しだけ、花と君を楽しみましょうか」
頭に落ちた花びらは、可愛らしいから彼女が起きるまでそのままで。