ごめんなさい 「ホラよ」 帰ってきたイヴァンが何かの袋を寄越す。 ガサガサと開けてみると、クラムのフライ! 「あーっ!わーい、ありがとう!いただきます!」 イヴァン、頼んだの覚えててくれたんだ! 「ベルナルドと食うのか?」 「油っこくてダメなんだってさ」 「ハッ、もうトシだな」 「かもねぇ!アッハハハ!」 笑い飛ばしてみるが、意外と量多いなコレ。 「あ、食べきれないだろうし一緒にどう?」 「食ってもいいんだけどよ、もう2袋買って来てんだよな」 2袋って…一人で食べるの? 「俺がいただこうかな」 「ベルナルド。食べるって言って口に合わないとか言い出したら怒るけど」 「おう、キレてやれ。じゃあな」 「はーい。ありがとねー」 「とりあえず、来てくれないか?」 「ん?ああ、ここで食べるわけには行かないもんね。立って食べるなんてお行儀が悪いわ」 「ああ、そうだな」 なんだろう。 ベルナルドってば何か怒ってる? 「わっちょっと!?」 私の手を少し強引に引っ張って歩いて行く。 部屋に着いたと思ったら…カギ、ですか? 「…なに?ご飯を食べる姿は非公開ですって?」 「それもいいかもな。誰にも見られないように閉じ込めておきたいよ」 「これからフライを楽しみましょうっていうのに物騒ですよ、ベルナルドさん」 その笑みは少し怖い。 「やっぱり美味しいなあ。ベルナルドもいかが?」 「姫の手からいただきたいな」 「ハイハイ」 餌付けかい。 「ああ、やっぱり油がキツイな」 「やっぱり年齢には勝てませんか」 焼き肉が食べられなくなるーとか言うよねえ。 「失敬な」 「そりゃそうだ。まだ30過ぎでしょ?若い若い」 「そうかな?」 そんな真剣な顔をしないでほしい。 「…ベルナルド、苦労し過ぎなんじゃないの?そのせいでイロイロとガタが…」 「怖いことを言わないでくれよ…」 「うん、怖い。ガタとかまだ早いから」 「心配かけないように、まだまだ若者らしいというところを見せようか」 「ふーん。じゃあこれどうぞ」 「俺が食べたいのはそっちじゃない」 食べ物はこれしかないわ、ベルナルド。 「…冷めて油ギトギトになったフライなんて食べたくないよ。食べ物を粗末にしちゃいけません」 「食べたければ俺が用意するさ」 別にまたイヴァンに頼むよ。 ついでだからいいって言ってくれてたし…ん? 「ねーえ、ベルナルド」 「何だい?」 「あんまり聞きたくないけどもしかして嫉妬してるの?」 「鋭いな」 っつーか、自分は鈍いくらいだと思う。 「若者同士仲良くしていられるとね…しかも相手は男だ」 「相手はイヴァンだけど?」 「君にその気がなくても…」 「いやあ、イヴァンにその気がないってば。相手に失礼だってば」 イヴァンだって選ぶ権利がある。 「わからないさ。若い男だしな」 なんだろう、妙に絡むなあ…若い…若さ…あ。 “ハッ、もうトシだな” “かもねぇ!アッハハハ!” 「…えっと、もしかしてベルナルド…き、聞こえた?」 「何のことだい?」 笑顔が怖いです、筆頭幹部殿! 「あのね、あれは言葉のあやというかね、ノリっていうかね…」 「何の話をしているのか、わかりかねるね」 「そ、そう…わからないならいいんだけど…ごめんなさい」 ベルナルドにとっては前髪レベルにデリケートな問題なんだろう。 なるべく触れないようにするべきか。 「まあいいや。体のためにももう少し食べたら?いつも言ってるけど食べなさ過ぎ」 「君ならいくらでもいただきたいんだが」 またその話ですか。 「あっそ。だったらこれを私だとでも思って…」 「そうか、その手があっ」 「ごめん、私が悪かった」