よく頑張りました
どこまでにしよう。
キリのいいところ…はさっき過ぎたばかりだ。
第4章突入。
半分はとうに過ぎたし、こりゃやっぱ読みきるしかないかな。
「まだ起きてたのか」
「ベルナルド、お疲れ様!」
朝まで戻ってこれないかと思ってた。
「また髪を乾かしてないな?」
「ほっとけば乾くよ」
「体も冷やして、風邪を引くぞ」
そういえば自覚はなかったけど、冷たくなってる。
「ま、バカだから大丈夫でしょ」
「その台詞を自信たっぷりに言うヤツも珍しいな」
「あ、イヴァンよりバカじゃないからね!」
ここは言っておかねば!
「ハハハ」
「ベルナルド?」
長い体を折って、ベッドに身を乗り出してきた。
「そんなことより、ベッドの上で他の男の名前を出される方が気になるな」
…出されたイヴァンは怒るだろうなあ。
「ベルナルドベルナルドベルナルド」
呪文のように唱える。
「何だい?」
「いやあ、ご不満みたいだから。これだけ呼べば満足してくれるかなって」
するとベルナルドは色気たっぷりに笑って。
「そうだな、最中に何度も呼んでくれるのは快感だね」
エロオヤジめ…。
「そういう話してないし。疲れてるんだからさっさと寝ないと」
「おや、誘ってもらえるとは思わなかったよ」
電気を煌々と付けたまま、朝まで本に没頭してやろうかしら。
「心配してるんです。睡眠は大事よ、ダーリン」
食べない人間なんだし、せめてちゃんと寝てくださいな。
「一生懸命お仕事をしてきたんだが、ご褒美はいただけないのかな、ハニー」
「えー…」
「そういう言い方は傷付くよ…」
ナイーブなおじさんなんてめんどくさいわ…。
「よし、こうしよう!ご褒美は私の添い寝ってことで!…何つまらなそうな顔をしとるのかね」
「いや嬉しいさ。…そうだな、それで手を打とう」
よしよし、これで何事もなく無事に眠れそう。
本の続きは明日に持ち越しで。
伸びをしてベッドに潜り込むと、すぐにベルナルドの腕が絡んだ。
「おやすみ」
「まだ眠くないんだ」
「じゃあ子守唄でも歌ってあげましょうか」
「冷えた体をあたためて、の声を子守唄にしたい」
「え?」
ベルナルドは体を起こすと私に覆い被さった。
「そういう意味かこの変態」
「フハハ、光栄とでも言おうか」
そこは嘘でも否定してほしいところ。
「全くしょうがないおじさんですね」
「我慢できないんだよ。いや、これでも我慢したさ」
どうかなあ。
「仕事をちゃんとやってきたんだ、偉いだろう?」
ダメな大人だわ。
「ハイハイ、よく頑張りました。お疲れ様」
「だから…が欲しい」
その声は、反則だったら。