Let's make the chocolate! 今年のバレンタインはつつがなく終了致しました。 だのになぜ。 私はチョコレート作り教室なるものに強制参加しているのか。 「まだ混ぜるのー?」 「それが終わればあとは冷やすだけだ」 生徒は私一人。 会場は遠坂家。 居候の身のはずが、最近自分の家のような気がしてきた今日この頃。 家主は家主で別のお宅に居候中である。 だからといって、やっぱりこの豪勢さは自分のものとは思えないか。 世界が違うわ。 「ていうかさ、何で今頃チョコレート作りなんですかね」 せめてバレンタイン前にやっとこうよ。 教えてもらった相手にまんま作って渡すのもどうかと思うけど。 「次はアーチャーのお返しの番でしょ」 楽しみ。 どんなお菓子であれ、美味しさが保証されてるはず。 「君はチョコレートが好きだろう?」 「好きだよ」 「どうせなら鼻血でも出す程食わせてやろうと思ってね」 「な…っ!?乙女に向かって鼻血とは何事か!これ食らいたいの!?」 手にしたボウル。 だがしかしコイツなら確実に避けるだろう。 そして中身をこぼさずキャッチするんだむかつく! 「遠慮するよ」 「そうだね、綺麗に受け止めたりしたら私余計むかつくわ」 黒いエプロンがよく似合っている。 そんな英霊なんてこの人くらいだろう。 衛宮くんもよく似合ってたしな。 それにしても…。 「なんか怒ってる? 「む?」 「いつもっぽいけどなんか違うっていうか…」 「何もないさ」 「何かあるでしょ。さあ吐きなさい」 「…手作りとはいいものだろう?」 「え?」 は、はあ…。 そりゃいいものだろうけどだから何かと…。 「………あ?」 「そうは思わんかね?」 「ああ…うん…まあ…」 つまり。 「もしかしてアーチャーさん…手作りチョコが良かった、のかしら?」 「さて、そう聞こえたか?」 そう言ってんじゃん! 「なんていうか…その、ごめん?」 「別に謝られたいわけではないさ」 「…手作りは自信がなくてですね」 所詮溶かして固める程度ですが。 それでも云百年だか生きて…はいないけどそんなプロに食べてもらうだなんて恐れ多い! 「仮に兵器のような代物でも私は食べたよ」 「ねえ私を怒らせたいの?…まあなんていうか、アーチャーも素直じゃないよね」 「君には及ばんよ」 「はいはい」 そういうところも嫌いじゃないですから。