朝のご挨拶
彼女の朝の第一声は、挨拶ではない。
「ご飯」
これはこれで、ある意味では随分ご挨拶なものだが。
「君の寝起きは凜に匹敵するものがあるな」
「うるさい」
凜よりはいいかもしれない。
は食べれば機嫌が良くなるのだから。
食後の紅茶でも出してやればなおのこと。
「おいしかったー。ありがとう、アーチャー」
「礼にはおよばんよ」
幸せそうな顔を見ると、朝一番の不機嫌な顔の記憶がかき消える。
自分も随分惚れ込んだものだ。
「アーチャー?」
「何だ」
「いや、なんか嬉しそうな顔してたから。いいことでもあったのかなって」
「ああ、あった」
「へぇ、何?」
さて、どう答えようか。
「秘密にしておこう」
「えー」
昼食は何にしようか。
君の望むままに。
2007.3.22 up