言うと思った。 なんて、人となりとまで言わないけどわかってくるもんだよね。 またも髪を染めてコンタクトを入れる。 さあ、今度の相乗りはどちら様?    お笑いぶーむ 「何故そいつらがここにいる」 あは、相変わらずですね。 グウェンダルは遠慮せずに嫌な顔をしてくれた。 「スヴェレラの囚われ人は偽物だと、直接、説明されるつもりらしい」 「説明だと?」 「そそそそうだぞ!どーせあんたのことだから、あっちのそっくりさんが本物でそのまま処刑されちゃえばいいのになーんて考えてたのかもしれないけど!  残念でした、おれはちゃーんとここにいるし、そっくりさんも処刑させないかんなっ!さあ湖南省だかカブレラだかいう国まで行ってもらおっか。  そっくりさんと魔笛をゲットしにねっ」 「…コンラート」 「なにか?」 「こいつらを連れて帰れ」 …言うと思った。 「こいつらって、ぼくもですか!?」 「申し訳ないけど、俺は陛下の命令で動くので」 「…勝手にしろ」 グウェンダルは国境の川へと馬を向かわせた。 「熱射病で倒れられたらどうしますか!」 と、ギュンターは例のごとく泣きながら私たちを引き止めた。 が、私はギュンターの涙と鼻水から隔離されていた。 コンラッドに護られながら、ちょこちょこと聞こえのいい言葉を有利の言葉の間に挟んだ。 「ご立派です陛下」 こうしてフォンクライスト卿はおちたのであった。 国境の川は記録的な干害というだけあって、ほとんど干上がっていた。 地面が乾いてひび割れてしまっている。 「大きい川だね」 「水があったらすごい光景なんだろうな」 「ああ。内戦中は人間達の死体がどんどん流れ着いたらしい。奴等は我々の土地に入りたがらないから、引き取りに来なくて困ったそうだ。  流れが強いのも考え物だな」 「…そーいう意味のスゴイじゃなくてさ」 誰か今のを冗談って言ってくれないかな。 川を渡りきると、こちらの数倍の兵士が出迎えてくれた。 槍の穂先は私たちに向かっている。 そして後列の兵士達は。 「ねぇ、有利…あれってさ」 「アイーン?」 ヴォルフラムが舌打ちする。 「あれは魔族をそしる行為だ。本心では恐ろしくてたまらないくせに、集団になると思い上がる。まったく人間は質が悪い」 「はあ、すんません」 「お前は人間じゃないだろう、いい加減に魔族としての自覚を持て!」 これが夫婦漫才というやつか。