寄場に収容されているのは、女の人ばかり。

しかも婚姻関係で罰せられた人たちらしい。

外はすごい警備で、テレビで見た強制労働の現場を思い出させた。

兵達はグウェンダルの脱獄と有利の救出に分かれた。



   私と君は繋がっているから



「…なんで女の人ばっか、悪いって言われなきゃいけないんだろ」



そりゃ、原因が女にある場合だってあるだろうけどさ。



…」

「コンラッドもそう思う?」

「…いや、俺は男にも責任があると思いますよ」

「…コンラッドは浮気したりしない?」

「俺は一途です」

「お前たち、何をしてるんだ」



頭が痛いと言っていたヴォルフラムが不機嫌そうに言う。



「体、平気?」

「無理なら早めに言ってくれないと。庇ってやる余裕はない」



それは私にも言えるだろう。



「見くびるな。充分戦える」

「そりゃ良かった」



剣を握る手に力を入れてみる。



「…ヴォルフ」

「なんだ、しつこいな!」

「寄り掛かってるの、サボテンだ」



悲鳴をあげてから両手で口を押さえた。
可哀想に、服の上から2、30本針が刺さっていた。



「そういうことは早く言えっ」

「知ってるだろうと思って」



知ってたら言ってあげたかった。
けど、私は目の前のことで頭がいっぱいだった。
また剣を振るうのだ。



「まだ気にしてるのか?」

「何を」

「とぼけなさんな、陛下とグウェンのことだよ」

「今はそんなこと思ってな…」

「そんなに心配しなくても、あの二人の相性の悪さは知ってるだろ。もう少しユーリ陛下を信じてさしあげないと、いつか本気で嫌われるぞ」

「だから心配などしていない!」

「ならいいけど。それにもしそんな雰囲気になっちゃったとしても、相手が陛下じゃ何も起こりようがないだろう」



………。
私はヴォルフラムに刺さった針を抜いてやりながら聞いていた。



「…なんでそんなに理解してるんだ」

「なにを、ああ、ユーリ陛下の性格を?生まれる前からのファンだから」



この人は、私にも同じことを言ってくれるだろうか。



「しかも、なんであの女を助けてやるんだ?あんな人間、どうなろうと知ったことじゃないのに」

「ニコラは情報をくれた」

「でもあの娘は、ゲーゲンヒューバーの恋人だぞ!?あいつさえいなければ今頃お前は、ウィンコットの城主になっていた!」



え?



「それは、そんなに重要なことじゃない」

「では、ジュリアの生命が失われたことは?それも重要ではないというのか!?」



これ以上、聞いているのは苦しい。
無意識に服の袖を握り締める。



「ヴォルフラム」



コンラッドは、今何を考えているだろう。



「昔のことだよ。何もかも。それにもしヒューブが事を起こさなかったとしても、俺と彼女は…」



その続きを聞きたくて、聞きたくなくて顔を上げると、コンラッドと目が合った。



「それにしても意外なのは、どうしてニコラと恋に落ちたかだ」



はぐらかした。



「まあ、お前だって同じようなものだけど」

「はぐらかすな!ヒューブの罪を許すのか?だから奴の妻を国に入れ…」

「そうじゃない」



コンラッドは私を見て、それから塀のずっと向こうを眺めた。



「二人は笑っていたから。そして…望みどおりにしたいんだ」


最初の言葉は私とニコラを指して。次はきっと…私と有利だ。

ドクン。



「………ぁ、」

!?どうし…」



大丈夫。
だって、いつものことだもの。
ねえ、有利?