骨。 無数の骨が体を這い上がってくる。 その感覚を受け入れながら。 私は自分が傷付けた傷口を見つめいてた。    きっと同じ夢を見てた 「っ!?…はっ、はぁ」 夢、だ。 もう私の体には骨なんてないし、剣も手にしていない。 敵もどこにもいない。 血だって一滴も。 「やっぱりお前の方が目を覚ますのが早いんだな」 「…ヴォルフラム」 隣を見ると、有利が寝息を立てていた。 あれだけの魔術を使ったんだから、無理もない。 …夢でうなされるほどの魔術を。 「うなされていたようだが、アレか?」 「もしかしてヴォルフラムも?」 私の場合、それだけじゃないんだけど。 「ああ、もう最低だ」 それでも好きなくせに。なんちゃって。 有利が聞いたら泣きそうだ。 「ところでさ、ここどこ?…あとベアトリス!」 「良かった。目を覚ましたんですね」 「お目覚めはいかがです、陛下?」 「コンラッド…と、ドチラサマデスカ?」 まるで外国人が日本語をしゃべるみたいに片言になる。 オレンジの髪の男の人。 オレンジ髪なんて知り合いはいな…。 「えっ!?今陛下って言った!?」 「陛下は陛下じゃないですか」 「いや、そういうことじゃなくて…」 コンラッドが普通にしてるってことは、この人は敵じゃないんだよなぁ。 「俺のこと、思い出せません?」 「悪いけど覚えがな…ちょっ、ちょっと!近いっ!」 「おい、陛下に失礼だろう」 「ま、仕方ねぇか。こちらの陛下とは話す機会もなかったもんなぁ」 「えっと…下手なナンパじゃないとしたら、私は一応あなたと会ってるわけですね?」 どこで会ったっけ? ふと顔から視線をそらしてみると。 筋肉質な体が目に入る。 「ああっ!もしかして有利にせまってた超ガタイのいいおねーさん!?」 「何ぃ!?せまっていただと!?」 あ、余計な地雷を踏んでしまった。 「ご名答ーぅ」 「おい!どういうことだ!」 「大丈夫ですよ。残念ながら陛下にはフラれちゃいましたから」 その言葉を聞いて、ヴォルフラムは一変した。 上機嫌でいらっしゃる。 「やはり僕でなければな!」 何が。 「で、結局どちらさま?」 「てっとり早くいうと、俺の幼馴染です。二人とも片親が人間だったので、子供の頃、同じ場所で育ったんです。  成長してからは同じ隊に所属し、戦友として生死を共にしたわけ。彼の名前はグリエ・ヨザック。  非常時に俺達を支援するようにと、シルドクラウトからずっとついてた護衛です」 「よろしこー」 親しみやすいというか、なんというか。 …軽いなぁ。