夢だったんじゃないかって疑った。 だけど、あなたがくれた贈り物。 それは確かにこの胸にあって。 見る度思い出すのです、向こうでの日々を。 裸のお付き合い!? 今日は昼間からシャワー中。 なんと優雅なことでしょう。 …なんて、向こうに比べたら全然敵わないか。 乳白色の湯船に体を沈める。 珍しく入浴剤を使ってみた。 「そういや"珍しく"っていえば…」 そうそう。 あの時も普段はやらない皿洗いを…。 「を?」 ここは波のプール? それとも海だっけ? 湯船のお湯が渦を巻き始めた。 底に座っていたはずなのに、硬い感触は消えて。 「うわっ!まさか…」 また!? 「………」 「お帰りなさい、陛下」 「コン、ラッド…」 名前を呼んで、感動に浸ろうとした瞬間。 自分の状態に気付いた。 全裸…ではかろうじてないが、バスローブらしきものをかけられ、コンラッドにお姫様抱っこを…。 「きっ…」 「きゃーーーーっ!?」 「っ!?」 乙女の叫びは、野太く黄色い歓声にかき消された。 「陛下よーっ、本物よーっ、カーワーイーイー!」 なんと、有利が金髪美女達に襲われているではないか。 …あれ?もしかしておねーさまでなく、オニーサン? 「えっ、あの、何が起きてる?」 「陛下、お迎えにあがり…ああっ!!」 ギュンターが颯爽と登場したが、有利はガボガボと水を飲みながらもがいている。 「陛下、ご無事ですか!?その手を離しなさいお前たち!そのお方をどなたと心得る!?」 珍しくカッコイイギュンターだ。 「…ギュンター様ですって?」 「な、なんですか、その目つきは」 嫌な予感って誰でもよく当たるもの。 おにーさんたちの次のターゲットはギュンターであった。 「えっと、コンラッド」 「はい?」 「私はいいから、とりあえず有利を助けに行ってあげて」 「…ちょっと残念ですね」 「へ?」 と、一瞬疑問に思ったけど、コンラッドが楽しそうな顔をしていることに気付いた。 「は、早く降ろしてよ、馬鹿っ!」 かくして、私は再び異世界に降り立った。